8・0・1

どこだかの市会議員さんが「同性愛は異常」発言したとかで物議を醸しましたね。
批判していた人は勿論、全員が同性愛主義者だった訳ではないのですが…あのニュースを聞いて、私はだいぶ前に見たワイドショーを思い出しました。

その時のトピックスは“ゲイのカップル”がテーマだったのです。

彼らは、大抵カミングアウトはしていないそうです。
中には妻帯しながら密かに同性の恋人との二重生活を送っている人もいらっしゃるとか。

番組は下世話にも、そういったカップルに取材を試みたのでした。

まずは新宿某所で網を張り、無事に睦まじく歩いているカップルを見つけました。
モザイクがかかっていたのでルックスはわかりませんが、近くにアパートまで借りているというその二人、声のみの取材ならOK、という事でスタッフの一人を、彼らの愛の巣に連れて行きました。
連れて行かれたのはADの青年…勿論彼も声のみの出演でしたが、後から思うに、カップルの好みのタイプだったから選ばれたようです。

アパートの一室に連れこまれたAD氏は、健気に取材するものの、明らかに及び腰です。

「あの…お二人はいつから付き合われているんですか?」
「そうだなー、かれこれ三年間?…それより座んなよ、突っ立ってないで」
「はあ…会われる頻度はどれくらいですか?」
「週一、あるかないかかな?俺らだって普段はフツーに暮らしてるしさ…彼なんか子どももいるし」
「そうなんですか。…それで、お付き合いするきっかけは…」
「んー……もう、良いじゃんそんな話…楽しもうよ」
「ちょっ!…なんで電気消すんですか!…あー!あ゛〜〜〜!!!」

そこで音声は途切れ、画面はスタジオに。
「取材していたADの◯◯くんは、一回り大きくなって戻って来ました」
微笑して締める司会者。こういう洒落たコメントをするアナウンサーは、多分山中秀樹氏だったと記憶していますが、
それより印象的だったのは、隣のアシスタントの若い女性です。両目が完全に、“上弦の月”になっていました。

以来、私は確信しています。人間…それも女というのは、あの手のアブノーマルを嫌悪する人以外は、多かれ少なかれ“嫌いじゃない”んだと。

私がまだ独身の頃、会社の同僚と某県の営業所の人の所に遊びに行った事がありました。
帰りの新幹線での事です。
一緒に行ったのは、同い年の女の子と後輩の男の子でした。
後輩はその年入社したばかりで、背も高くルックスも割と良いのですが素朴で気弱だった為、私たち先輩女子社員からこき使われる、お気の毒な存在だったのです。

新幹線の中、後輩は疲れ切り、後ろの席で爆睡しています。
不意に、同僚が肘で突ついて来ました。
通路を挟んだ隣の席に座る男を目で指し、

「あの男が読んでる漫画、男同士のやつだよ」
「マジ?」

…そうです。その男、“さぶ”だか“薔薇族”だかの雑誌を舐めるように読んでいたのです(*意味が分からない良い子はスルーしてね)。

私たちが何気に見ていると、男はゆっくりと車内を見回し、

「………」

私たちの後ろの席に移動して行きました。
…そう、後輩の隣に…です。
私と同僚は素早く目線を交わし…耳をそば立てておりました。

結局、AV(?)のような展開にはなりませんでしたが、何しろ一緒に居たのが私たち、悪魔のような女子社員です。

後輩くんが“ホ◯♂”だという、社内の噂はこれがきっかけだった事は否定しません。

彼は姉三人の後に生まれた長男坊でした。お父様は漸くできた跡取りに、狂喜されたといいます。

後日、確かアメリカで、息子を凌辱されたのを恨んだ男が相手の男を射殺した…というニュースを聞きました。

もし、あの事がきっかけで彼がその道に走ってしまっていたら、私も後輩の父親から刺されたかもしれないなー…なんて、ヒヤリとしたものです。

後輩くんが無事に結婚した時は、心からお祝いしました。

あの時は本当にごめんね、Oくん!